2014-07-01から1ヶ月間の記事一覧

賀川豊彦の畏友・村島帰之(124)−村島「アメリカ巡礼」(2)

「雲の柱」昭和7年5月号(第11巻第5号)への寄稿の続きです。 アメリカ巡礼(2) ロサンゼルスその他 村島帰之 (前承) 古谷福松氏 午後二時、これでやっと釈放されて、午餐を頂きに徳牧師宅に向ふ。小ぢんまりしたコテーヂに、本が山のやうに積れてゐる。…

賀川豊彦の畏友・村島帰之(123)−村島「アメリカ巡礼」(1)

「雲の柱」昭和7年5月号(第11巻第5号)への寄稿分です。 アメリカ巡礼(1) ロサンゼルスその他 村島帰之 九月十三日 午前十一時五十分、私たちを乗せた飛行機は予定よりも十分ほど遅れて、ロサンゼルス市を距る十三哩のグランドセントラル飛行場に着く。 …

賀川豊彦の畏友・村島帰之(122)−村島「アメリカ巡礼」(7)

「雲の柱」昭和7年4月号(第11巻第4号)への寄稿、最終回です。 アメリカ巡礼(7) 太平洋沿岸 村島帰之 (承前) ベーカースフィールド 十二日 朝七時起床。八時、またもやフレスノを立って自動車で百二十哩をベーカースフイルドに向ふ。前日の森氏のドラ…

賀川豊彦の畏友・村島帰之(121)−村島「アメリカ巡礼」(6)

「雲の柱」昭和7年4月号(第11巻第4号)への寄稿の続きです。 アメリカ巡礼(6) 太平洋沿岸 村島帰之 (承前) 野放しの熊に會ふ 夕飯前の一刻を、自動車で散歩に出ると、森の中の道路で、はからずも一匹の熊がノコノコ森から出て来るのに會ふ。私が試みに…

賀川豊彦の畏友・村島帰之(120)−村島「アメリカ巡礼」(5)

「雲の柱」昭和7年4月号(第11巻第4号)への寄稿の続きです。 アメリカ巡礼(5) 太平洋沿岸 村島帰之 (承前) スタクトン まづスタクトンの支那人街のあるレストラントへ着く。ここで歓迎會が催されるのだ。 農業大會で思はぬ時間をとられたので、會衆は…

賀川豊彦の畏友・村島帰之(119)−村島「アメリカ巡礼」(4)

「雲の柱」昭和7年4月号(第11巻第4号)への寄稿の続きです。 アメリカ巡礼(4) 太平洋沿岸 村島帰之 (承前) 南加農業者大會 九月九日 午前七時からホテルの直ぐ前の教會で感謝祈祷會を持つ。早朝だのに一杯の參會者だ。賀川先生は「パウロの祈り」につ…

賀川豊彦の畏友・村島帰之(118)−村島「アメリカ巡礼」(3)

「雲の柱」昭和7年4月号(第11巻第4号)への寄稿の続きです。 アメリカ巡礼(3) 太平洋沿岸 村島帰之 (承前) サクラメント 八日 朝から荷物を片付ける。桑港は来月もう一度ゆっくり訪れるとして、けふ午後、先生のお伴をして中部加州方面を巡回するため…

賀川豊彦の畏友・村島帰之(117)−村島「アメリカ巡礼」(2)

「雲の柱」昭和7年4月号(第11巻第4号)への寄稿の続きです。 アメリカ巡礼(2) 太平洋沿岸 村島帰之 (承前) 桑 港 オークランドからフェリーに乗替る。隣りの白人の娘二人も乗替だ。私は彼女たちの好意に酬いるために、紙でカブトを折って与へた。彼女…

賀川豊彦の畏友・村島帰之(116)−村島「アメリカ巡礼」(1)

「雲の柱」昭和7年4月号(第11巻第4号)への寄稿分です。 アメリカ巡礼(1) 太平洋沿岸 村島帰之 再び米大陸を横断 九月四日 眼がさめたら私は米大陸横断列車の中にゐるのだった。コーンの畑がつゞく。平凡な汽車の旅だ。 夕方になって、あたりの景色が三…

賀川豊彦の畏友・村島帰之(115)−村島「アメリカ巡礼」(8)

「雲の柱」昭和7年3月号(第11巻第3号)への寄稿、最終回です。 アメリカ巡礼(8) 村島帰之 (承前) バーレスキュー見物 夜は大原夫妻の案内で、アポロヘ「バーレスキュー」を見に行く。さすが、エロを賣り物にする見世物だけに、女子は稀れで、男も老人…

賀川豊彦の畏友・村島帰之(114)−村島「アメリカ巡礼」(7)

「雲の柱」昭和7年3月号(第11巻第3号)への寄稿の続きです。 アメリカ巡礼(7) 村島帰之 (承前) 市営公衆浴場 私たちはそこを去って、直ぐそばの公衆浴場 Public bath of City New-York を見る。石鹸タオル持參の者は無料。それを借りるものは五銭を支…

賀川豊彦の畏友・村島帰之(113)−村島「アメリカ巡礼」(6)

「雲の柱」昭和7年3月号(第11巻第3号)への寄稿の続きです。 アメリカ巡礼(6) 村島帰之 (承前) マージー百貨店 二十八日 午後からマージー百貨店へ買物に行く。今井さんの忠告でトランクを一個買ふ。九弗。それから真理子のために人形を一つ。 拾銭店…

賀川豊彦の畏友・村島帰之(112)−村島「アメリカ巡礼」(5)

「雲の柱」昭和7年3月号(第11巻第3号)への寄稿の続きです。 アメリカ巡礼(5) 村島帰之 (承前) 動 物 園 へ 二十五日 たまってゐた日記を整理して、書留で内地へ送る。 昼飯はホットケーキとミルクで済ます。ニューヨークへ来て以後、最も安価な昼飯で…

賀川豊彦の畏友・村島帰之(111)−村島「アメリカ巡礼」(4)

「雲の柱」昭和7年3月号(第11巻第3号)への寄稿の続きです。 アメリカ巡礼(4) 村島帰之 (承前) 赤煉瓦の旧市街 みちすがら、旧市街を通ると、赤い煉瓦建の多いのが目につく。聞けば、これはワシントン以前からの建物で、英國から移住した人々が、郷里…

賀川豊彦の畏友・村島帰之(110)−村島「アメリカ巡礼」(3)

「雲の柱」昭和7年3月号(第11巻第3号)への寄稿の続きです。 アメリカ巡礼(3) 村島帰之 (承前) リンコルン記念堂 車はその記念塔の周囲を一周した後、ゴルフリンクスの前を通り、大きな堂の前に止った。「リンコルンの記念堂です、下りて見ませんか」…

賀川豊彦の畏友・村島帰之(109)−村島「アメリカ巡礼」(2)

「雲の柱」昭和7年3月号(第11巻第3号)への寄稿です。 アメリカ巡礼(2) 村島帰之 (承前) 北米合衆国政廳 街路樹の上に、白い大きなドームが見える。それがキヤピタルであらうことは直ぐ想像出来た。車は雨に洗はれた美しいアスファルトの道をすべるや…

賀川豊彦の畏友・村島帰之(108)−村島「アメリカ巡礼」(1)

「雲の柱」昭和7年3月号(第11巻第3号)への寄稿分です。 アメリカ巡礼(1) 村島帰之 ワシントン市 八月二十二日 けふはワシントンに出かけやうといふので、今井さんと二人、九時十分、ペンシルバニアーステーションへかけつける。夏季中に土曜から日曜へ…

賀川豊彦の畏友・村島帰之(107)−村島「アメリカ紀行」(4)

『雲の柱』昭和7年2月号(第11巻第2号)への寄稿の続きです。 アメリカ紀行(4) 村島帰之 (前承) 天ぷら料理と芝居 二十一日 朝飯の後、大原兄をオフィスに訪問するつもりで出る。途中、エンパイアステートビルの近くで店を開いて居られる松本さんを訪ね…

賀川豊彦の畏友・村島帰之(106)−村島「アメリカ紀行」(3)

『雲の柱』昭和7年2月号(第11巻第2号)への寄稿の続きです。 アメリカ紀行(3) 村島帰之 (前承) ハドソン川を下る 二十日 昨夜は夜半、南京蟲の襲来で眠りを妨げられたが、思ひ切って起上って捜索を行った結果、見事に仇討を果したので、それからは善く…

賀川豊彦の畏友・村島帰之(105)−村島「アメリカ紀行」(2)

『雲の柱』昭和7年2月号(第11巻第2号)への寄稿の続きです。 アメリカ紀行(2) 村島帰之 (前承) ハドソン河の底をくぐる 「芳の家」を出て、ついでにハドソンの地下道を通ってニューヂャージーを案内してやらうとあって、まづハドソン河の方へ出る。 ホ…

賀川豊彦の畏友・村島帰之(104)−村島「アメリカ紀行」(1)

『雲の柱』昭和7年2月号(第11巻第2号)への寄稿分です。 アメリカ紀行(1) 村島帰之 ワナメーカー 八月十九日 朝八時半、汽車はニューヨークのグランドセントラルステーションに着いた。今井さんが出迎へに来てくれられる。 附近のカフェーテリアで簡単な…

賀川豊彦の畏友・村島帰之(103)−村島「アメリカ紀行」(8)

「雲の柱」昭和7年1月号(第11巻第1号)への寄稿の最後です。 アメリカ紀行(8) 村島帰之 (承前) 十八日 小川先生の元気の善い大砲のやうな声に眼をさます。 午後二時半から先生の「日本における神の國運動」の講演かある。 資本主義は個人主義だか…

賀川豊彦の畏友・村島帰之(102)−村島「あめりか紀行」(7)

「雲の柱」昭和7年1月号(第11巻第1号)への寄稿の続きです。 アメリカ紀行(7) 村島帰之 (承前) 十六日 朝七時、三人で食事をする。両先生は名説教家モルガンの説教を聞きに行かれたが、私は睡眠不足を取りかへすために眠る。 昼食は両先生が帰っ…

賀川豊彦の畏友・村島帰之(101)−村島「アメリカ紀行」(6)

「雲の柱」昭和7年1月号(第11巻第1号)への寄稿の続きです。 アメリカ紀行(6) 村島帰之 (承前) ウイノア湖 十五日 朝七時、ウイノアレーキに着。出迎の自動車の前面のガラスに、KAGAWAと大書してある。それは明晩の先生の講演の宣傅廣告だっ…

賀川豊彦の畏友・村島帰之(100)−村島「アメリカ紀行」(5)

「雲の柱」昭和7年1月号(第11巻第1号)への寄稿の続きです。 アメリカ紀行(5) 村島帰之 (承前) フォード飛行場 グリーンフィールドを出て、デトロイㇳヘ引返さうとした時、傍らにフォード飛行機場のあるのを見て、賀川先生が見やうといひ出した。…

賀川豊彦の畏友・村島帰之(99)−村島「アメリカ紀行」(4)

「雲の柱」昭和7年1月号(第11巻第1号)への寄稿の続きです。 アメリカ紀行(4) 村島帰之 (承前) デトロイト 十四日 朝七時にデトロイトについた。 小川先生のオべリン時代の學友ピアースさんが自動車を持って迎ひに来てくれられる。 先生の講演は…

賀川豊彦の畏友・村島帰之(98)−村島「アメリカ巡礼」(3)

「雲の柱」昭和7年1月号(第11巻第1号)への寄稿の続きです。 アメリカ紀行(3) 村島帰之 (承前) 十三日 午前七時半、島津さんのお宅へ朝飯によばれる。島津さんのところへ持込んで来るいろんな事件の話を訊く。 邦人のコックで欧洲戦乱に米國軍人…

賀川豊彦の畏友・村島帰之(97)−村島「アメリカ紀行」(2)

「雲の柱」昭和7年1月号(第11巻第1号)への寄稿の続きです。 アメリカ紀行(2) 村島帰之 (承前) 十一日 よく眠った。涼しかったからでもあるが、永い間汽車や外人ホテルで、真の安眠を取られずに来たからである。日本人経営のハウスで、白分独り眠…

賀川豊彦の畏友・村島帰之(96)−村島「アメリカ紀行」(1)

「雲の柱」昭和7年1月号(第11巻第1号)へ寄稿したレポートの分載をはじめます。 アメリカ紀行(1) 村島帰之 シ カ ゴ 八月十日 朝八時、シカゴステーション着。島津岬氏と外にシカゴ神学校主事キャッシュマン氏及び神學生の諸君が出迎へてくれる。賀…

賀川豊彦の畏友・村島帰之(95)−村島「アメリカ紀行」(15)

「雲の柱」昭和6年12月号(第10巻第12号)への寄稿の続きです。 アメリカ紀行(15) カナダからアメリカに入る トロント――ニューヨーク――クリブランド 村島帰之 (前承) 外人教會の日曜説教 九 日 午前十一時から賀川先生の日曜説教が、クリブランド…