2014-04-01から1ヶ月間の記事一覧

賀川豊彦の畏友・村島帰之(56)−村島「スピード時代」

今回は「雲の柱」昭和6年5月号(第10巻第5号)に寄稿された村島論稿です。 社会研究 スピード時代 村島帰之 新聞のスピード 或るモダンな一映画女優が、敏捷さうな一青年記者の肩を敲いていった。 「あたし、新聞記者が好きですのよ」 「だって、新聞記者に…

賀川豊彦の畏友・村島帰之(55)−村島「大阪府方面事業の将来」

今回は「雲の柱」昭和6年4月号(第10巻第4号)に寄稿された次の論稿です。 社会研究 大阪府方面事業の将来 村島帰之 一 現在わが國において実施されてゐる方面委員事業は約七十の多きを数へる。即ち全國各府県に亘って、この事業を有せぬものは一つもなく、…

賀川豊彦の畏友・村島帰之(54)−村島「被害者としての職業婦人」

今回の村島論稿は、「雲の柱」昭和6年3月号(第10巻第3号)の掲載された「社会研究」の連載の一本、小文です。 社会研究 被害者としての職業婦人 村島帰之 可婚年齢の處女の多い職業婦人が、男性の誘惑の的となることは、今更いふまでもないが、同時に…

賀川豊彦の畏友・村島帰之(53)−村島「現代世相の一断面」

引き続いて今回も村島論文を取り出して置きます。 昨日は古書で昭和初期に企画された賀川豊彦編集になる『家庭科学大系』の一冊で第32回配本のなかに村島の「何が彼を不良児にしたか(後編)」があることを知り手に入れました。いずれここに収めることがで…

賀川豊彦の畏友・村島帰之(52)−村島「道頓堀の考現学的研究」

前回までで「雲の柱」に10回連載された「賣淫論」のあと、村島は引き続いて、注目すべき論稿を発表し続けています。 「雲の柱」昭和6年1月号(第10巻第1号) 道頓堀の考現學的研究 村島帰之 この一篇は神戸関西學院文科社會學科に席をもつ五人の學生とその…

賀川豊彦の畏友・村島帰之(51)−村島「賣淫論」(十)

この「賣淫論」の連載今回で10回目で、一応今回が完結です。 「雲の柱」昭和5年11月号(第9巻第11号) 賣淫論(十) 村島帰之 東京の賣淫 賣淫は文明の腫物である。そして、その腫物を最も都合善く化膿せしむるものは、あらゆる「悪」を一箇所に集め…

賀川豊彦の畏友・村島帰之(50)−村島「賣淫論」(九)

さて、今回も「賣淫論」のつづきで、9回目です。 「雲の柱」昭和5年10月号(第9巻第10号) 賣淫論(九) 村島帰之 娼妓取締規則 それが仮令自発的ではなくて、國際聯盟の婦人児童賣買禁止條約に刺戟されてした事であったにしろ、若槻内閣当時の警察部長会議…

賀川豊彦の畏友・村島帰之(49)−村島「賣淫論」(八)

今回は村島「賣淫論」の第8回です。 「雲の柱」昭和5年8月号(第9巻第8巻) 賣淫論(八) 村島帰之 検黴制度 公娼制度と検黴制度とは同一ではない。公娼以外の私娼に対しても、一部では現在検黴制度をひいて居るし、また公娼制度が倒れた後においても、検黴…

賀川豊彦の畏友・村島帰之(48)−村島「賣淫論」(七)

今回は村島の「賣淫論」第7回です。 「雲の柱」昭和5年7月号(第9巻第7号) 賣淫論(七) 村島帰之 公娼の需要 或る年の事であった。大阪の某警察署へ出頭して、娼妓志願を申出でた上品な娘があった。彼女は、福島市の士族某の二女國子(二一)といって、福…

賀川豊彦の畏友・村島帰之(47)−村島「賣淫論」(六)

前回の続きで「賣淫論」の第6回です。 「雲の柱」昭和5年6月号(第9巻第6号) 賣淫論(六) 村島帰之 身代金制度 身代とは「身を賣った代金」の謂で、人身賣買の名である。身賣は今日許されてゐない。それと表向の称呼は「前借金」といってはゐるが、実…

賀川豊彦の畏友・村島帰之(46)−村島「賣淫論」(五)

すでに80年以上も前の村島の論文ですが、彼ならではの筆使いで、読ませますね。取り出すのに根気がいりますが、じっくりと進めてみます。今回は「賣淫論」の第5回です。 「雲の柱」昭和5年5月号(第9巻第5号) 賣淫論(五) 村島帰之 日本の癈娼 それは今を…

賀川豊彦の畏友・村島帰之(45)−村島「賣淫論」(四)

今回も前回に続く村島の論稿を「雲の柱」昭和5年4月号(第9巻第4号)より取り出します。 賣淫論(四) 村島帰之 賣淫の種類 賣淫を法律上から分類するならば次の二つとすることが出来る。 一、公唱――國法によって公認せられ、鑑札の交付を受け、一定の租税を納…

賀川豊彦の畏友・村島帰之(44)−村島「賣淫論(三)」

さて今回も前回に続いて「雲の柱」昭和5年3月号(第9巻第3巻)より村島の「賣淫論」をUPいたします。テキスト化には時間がかかったわりには、うまく整ったものにはなっていませんが、悪しからず。 賣淫論(三) 村島帰之 娼婦となる動機 次に彼女達が、…

賀川豊彦の畏友・村島帰之(43)−村島「賣淫論(二)」

前回に続き「賣淫論」(二)を「雲の柱」昭和5年2月号(第9巻第2号)より取り出しておきます。数字のところがうまく整いませんが悪しからず。 賣 淫 論(二) 村島帰之 娼婦となる原因 ロムブロゾーは「娼婦は娼婦の原形的特徴を持って生れて来る。そし…