2012-06-01から1ヶ月間の記事一覧

「賀川豊彦の贈りものーいのち輝いて」(第13回)(未テキスト化分)

賀川豊彦の贈りものーいのち輝いて 第13回・未テキスト化分 第二章 部落問題の解決と賀川豊彦 第一節 神戸の「被差別部落」と賀川豊彦 (前回の続き) 付記1 小説『石の枕を立てて』の賀川の記述について 既述のとおり、賀川は自伝小説『石の枕を立てて』…

「賀川豊彦の贈りものーいのち輝いて」(第12回)(未テキスト化分)

賀川豊彦の贈りものーいのち輝いて 第12回・未テキスト化分 第二章 部落問題の解決と賀川豊彦 (前回の続き) 第二節 賀川豊彦と「部落解放運動」 かつて1970年代後半から80年代にかけて、主としてキリスト教界内部で指摘されてきた、いわゆる「賀川…

「賀川豊彦の贈りものーいのち輝いて」(第11回)(未テキスト化分)

ご案内:同時進行の別のブログ「延原時行・滝沢克己」http://d.hatena.ne.jp/keiyousan+torigai/で現在、延原さんの著作『良寛とトマス・ベリーと共に』を連載中ですが、賀川豊彦に触れて本日は『宇宙の目的』に言及され、数回まえには敬和学園大学における…

「賀川豊彦の贈りものーいのち輝いて」(第10回)(未テキスト化分)

賀川豊彦の贈りものーいのち輝いて 第10回・未テキスト化分 第一章 賀川豊彦 没後四〇余年 (前回の続き) おわりに 賀川の名著『乳と密の流るゝ郷』(改造社、1935年)は、家庭雑誌『家の光』で連載中から広範な読者を得た作品として有名ですが、没後…

「賀川豊彦の贈りものーいのち輝いて」(第9回)(未テキスト化分)

賀川豊彦の贈りものーいのち輝いて 第9回・未テキスト化分 第一章 賀川豊彦 没後四〇余年 第三節 二一世紀に生きる賀川豊彦 (前回の続き) 2 地域の再生―出合い・友愛・協同 賀川の基礎視座には、すでに度々言及してきましたように、つねに広く深く「宇宙…

「賀川豊彦の贈りものーいのち輝く」(第8回)(未テキスト化分)

賀川豊彦の贈りものーいのち輝いて 第8回・未テキスト化分 第一章 賀川豊彦 没後四〇余年 (前回の続き) 第三節 21世紀に生きる賀川豊彦 1 地球時代の平和と対話 「賀川生誕100年記念」のおり神戸新聞は、賀川の写真入りで「賀川精神を二一世紀に生…

「賀川豊彦の贈りものーいのち輝いて」(第7回)(未テキスト化分)

賀川豊彦の贈りものーいのち輝いて 第7回・未テキスト化分 第一章 賀川豊彦 没後四〇余年 (前回の続き) 第二節 賀川豊彦生誕百年―80年代〜90年代― 1 「賀川豊彦と現代教会」問題の討議 1970年代と80年代半ばまでは、部落問題解決の歴史の上では…

「賀川豊彦の贈りものーいのち輝いて」(第6回)(未テキスト化分)

賀川豊彦の贈りものーいのち輝いて 第6回:未テキスト化分 第一章 賀川豊彦 没後の四十余年 第一節 賀川豊彦を受け継ぐ(60年代〜70年代) (前回の続き) 3 『賀川豊彦全集』(全24巻)の刊行 ところで、賀川の没後すぐ関係者のあいだで、賀川の膨…

「賀川豊彦の贈りものーいのち輝く」(第5回)(未テキスト化分)

賀川豊彦の贈りものーいのち輝く 第5回・未テキスト化分 第一章 賀川豊彦 没後四十余年 (前回の続き) 第一節 賀川豊彦を受け継ぐ―60年代〜70年代― 1 『百三人の賀川伝』など 1959(昭和34)年1月、賀川は体調不良のなか、周囲の反対を押し切…

「賀川豊彦の贈りものーいのち輝いて」(第4回)(未テキスト化分)

賀川豊彦の贈りものーいのち輝いて 第4回(未テキスト化分) 第1章 賀川豊彦 没後の四〇余年 はじめに 賀川豊彦は1888(明治21)年7月10日、神戸市兵庫区島上町108番屋敷で誕生し、1960(昭和35)年4月23日、東京都世田谷区上北沢3…

「賀川豊彦の贈りものーいのち輝いて」(第3回)(未テキスト化分)

賀川豊彦の贈りものーいのち輝いて 第3回(未テキスト化分) はしがきー「賀川豊彦献身100年記念」を前に (続き) そして第四章〈「賀川豊彦」小さな断章〉に収めた二篇の小品は「寄り道の一服」といったものですが、そのうちの一篇は、1988(昭和…

「賀川豊彦の贈りものーいのち輝いて』(第2回)未テキスト化分)

賀川豊彦の贈りものーいのち輝いて 第2回・未テキスト化分 はしがき―「賀川豊彦献身100年記念」を前に (前回の続き) 本書の構成 本書第一章は、1960(昭和35)年にその生涯を閉じた賀川豊彦の「没後40余年」の時の流れを、私的な歩みと重ね合…

「賀川豊彦の贈りものーいのち輝いて』(第1回)(未テキスト化分)

賀川豊彦の贈りものーいのち輝いて (第1回) はしがき―「賀川豊彦献身100年記念」を前に 不思議なご縁で「賀川豊彦」に魅せられ、はや50年が過ぎました。高校生のときに出合うことのできた牧師夫妻から、はじめて「賀川豊彦」について学び、その影響…

「賀川豊彦と現代」(第29回)(絶版テキスト化)

賀川豊彦と現代(第29回) 絶版・テキスト化 賀川豊彦略年譜(神戸時代) (この部分はスキャンして収めます) ◆参考図書・文献(主要なもののみ)(一)賀川豊彦の著書 『賀川豊彦全集』全二四巻(キリスト新聞社刊) 『死線を越えて』三部作(キリスト新…

「賀川豊彦と現代」(第28回)(絶版テキスト化)

賀川豊彦と現代(第28回) 絶版・テキスト化 あ と が き I 賀川の魅力 本書は、当初「賀川豊彦と部落問題」と題して書き起こし、ご覧のような内容で筆をすすめてきました。これまでの「賀川豊彦伝」のほとんどが「部落問題」を避けて執筆されている現状…

「賀川豊彦と現代」(第27回)(絶版テキスト化)

賀川豊彦と現代(第26回) 絶版・テキスト化 Ⅶ 賀川豊彦と現代 三 宗教(者)の課題――国民融合の基礎− 最後に、宗教(者)の課題として、二つのことを強調しておきたいとおもいます。 その一つは、宗教(者)がたびたび陥ってきた、部落問題そのものについ…

「賀川豊彦と現代」(第26回)(絶版テキスト化)

賀川豊彦と現代(第26回) 絶版・テキスト化 Ⅶ 賀川豊彦と現代 二 社会活動の継承 1 「イエス団」「雲柱社」の活動 本書ではとくに、神戸を中心とした明治末から大正期の賀川らの社会活動を概観してきましたが、その中の社会事業活動や協同組合運動の取り…

「賀川豊彦と現代」(第25回)(絶版テキスト化)

賀川豊彦と現代(第25回) 絶版・テキスト化 Ⅶ 賀川豊彦と現代 一 宗教思想の独創性 賀川の没後、はや三〇年近い歳月が経過し、彼と同時代を生きてきた人々の多くが、次々と第一線から退かれつつあります。これからの新しい時代を切り拓こうとするわたした…

「賀川豊彦と現代」(第24回)(絶版テキスト化)

賀川豊彦と現代(第24回) 絶版・テキスト化 Ⅵ キリスト教界の「賀川問題」 二 キリスト教界の「賀川問題」 1 日本基督教団の動向 『全集』問題が果てしなく続く一方で、一九八四(昭和五九)年一一月に開催された第二三回日本基督教団総会において、「故…

「賀川豊彦と現代」(第23回)(絶版テキスト化)

賀川豊彦と現代(第23回) 絶版・テキスト化 Ⅵ キリスト教界の「賀川問題」 一 『賀川豊彦全集』問題 8 出版元の「回答」 出版元は右の「確認」にもとづいて一〇月三〇日付文書で、次のような「回答」を示すのです。長文ですが、キリスト教界の実情を知る…

「賀川豊彦と現代」(第22回)(絶版テキスト化)

賀川豊彦と現代(第22回) 絶版・テキスト化 Ⅵ キリスト教界の「賀川問題」 一 『賀川豊彦全集』問題 5 宗教界の「部落問題フィーバー」 ともあれこのようにして初版は刊行され、第二版は一一年後の一九七三(昭和四八)年に初版同様のかたちで出版されま…

「賀川豊彦と現代」(第21回)(絶版テキスト化)

賀川豊彦と現代(第21回) 絶版・テキスト化 Ⅵ キリスト教界の「賀川問題」 一 『賀川豊彦全集』問題 1 「キリスト者部落対策協議会」 本書「はじめに」において、最近の宗教界、とりわけキリスト教界にみられる部落問題をめぐる状況の一端にふれました。…

「賀川豊彦と現代」(第20回)(絶版テキスト化)

賀川豊彦と現代(第20回) 絶版・テキスト化 V 胎動期の開拓的試み(2) 二 共同住宅の建設 1 「不良住宅地区改良法」 賀川にとって重大な関心事であり続けたものに、住宅を中心とした環境改善の課題がありました。日本でようやく都市に於ける住宅問題…

「賀川豊彦と現代」(第19回)(絶版テキスト化)

賀川豊彦と現代(第19回) 絶版・テキスト化 V 胎動期の開拓的試み(2) 6 水国争闘事件 一九二三(大正一二)年三月、大日本国粋会という右翼団体と全国水平社が奈良県磯城郡で激突した、いわゆる「水国争闘事件」が起こります。この事件は、一村民の…

「賀川豊彦と現代」(第18回)(絶版テキスト化)

賀川豊彦と現代(第18回) 絶版・テキスト化 V 胎動期の開拓的試み(2) 4 水平社運動と農民組合運動 京都の岡崎公会堂で開かれた全国水平社の創立大会には、各地から三千名もの人々が参集したと言われますが、これには同志社の中島重(注1)や兵庫の…

「賀川豊彦と現代」(第17回)(絶版テキスト化)

賀川豊彦と現代(第17回) 絶版・テキスト化 V 胎動期の開拓的試み(2) 一 水平社運動・農民組合運動 1 西光(注1)・阪本(注2)らの訪問 部落問題に関する賀川の認識上の誤りについてはⅢで取り上げました。そして、米田庄太郎の注意をはじめ、賀川…

「賀川豊彦と現代」(第16回)(絶版テキスト化)

賀川豊彦と現代(第16回) 絶版・テキスト化 Ⅳ 胎動期の開拓的試み(1) 四 川崎・三菱大争議 I 大示威運動 一九二一(大正一〇)年の夏、神戸の川崎・三菱両造船所を中心として勃発した労働争議は、神戸製鋼所・台湾精糖・ダンロップなどの大工場からゴ…

「賀川豊彦と現代」(第15回)(絶版テキスト化)

賀川豊彦と現代(第15回) 絶版・テキスト化 Ⅳ 胎動期の開拓的試み(1) 三 『死線を越えて』と『貧民窟物語』 1 超ベストセラー 賀川にとって予期しなかった大きな出来事が、一九二〇(大正九)年一〇月に起こります。それはあの空前の超ベストセラー『…