第3次東日本大震災被災者仮設自治会訪問―第5回

前回(第4回)に少しふれたように、2013年9月9日(月)午前10時〜20時、最初の訪問先ーー「石巻仮設住宅自治連合推進会」と「大橋仮設団地」ーーを後にして、次の訪問先(午後2時〜4時)ーー亘理町公共ゾーン仮設・第3仮設の「ふれあいの会」−−に向かいました。

途中、軽い昼食を済ませて、「三陸自動車道」より「常磐自動車道」(?)で名取・岩沼を越えて「亘理町」までのドライブ。広い田園風景・・仙台空港から飛び立つ飛行機を眺めながら、豊かな稲穂の向こうに「公共ゾーン」に建てられた大規模の仮設住宅が見えてきます。





「公共ゾーン」というのは、震災前に公的諸施設を設ける予定地だったそうですが、当初ここに仮設住宅が550戸ほどつくられ、地元の亘理町のほか相馬・南相馬・名取・石巻など各地の被災者が、それぞれの避難所から1700人ほど混在するという、特異な住民構成になっていました。

大規模仮設ということもあって、3回に分けて建設され、建物も三つのタイプがあるとか。現在では、少しずつ退去者もあり、470世帯、1400人ほどの入居者のようです。





仮設開設当初、各集会所ごとに仮設自治会をつくって運営する方向を模索されたにもかかわらず、それがとん挫してしまい、第3集会所のある居住者のみ、250世帯、約500名で独自に「ふれあいの会」を組織して、<みんなでつくる・新しくて楽しいコミュニケーション>づくりに、地道にチャレンジしておられました。

今回は「ふれあいの会」の三人衆:運営委員長・木村一行、事務局長・佐藤仁志さん、元ケアマネージャー・大條(おおえだ)文子の3氏が、わたしたちのために対応して下さいました。




国や県や町の復興計画は立てられても住民の意見が反映したものとはいえないようで、行政の各種の「説明会」があってもただ「ききおくだけ」というふうで、詳細な具体的計画など入居者にはわからないままであるようですが、そんななかで「ふれあいの会」が実質的な相談窓口の機能をになっておられました。

この仮設には中学生以下の子供たちも多くて、学生ボランティアらと一緒に「ふれあい公園」を整備したり、盆踊りや秋祭り、さなぶり祭りや新年の花火の打ち上げなどの諸行事も満載のようでした。





震災から丁度2年半が過ぎて、なおこうして不自由な仮設生活を続けていれば、どこの仮設住宅でもあるような住民間の摩擦もうまれているようですが、この「三人衆」のお話をお聴きしていると、本格的な自治組織という成熟した活動という感じではないにしても、どこかぬくもりのある余裕と自信のようなもの感じられました。

懇談を終えてから10分ほどの映像「新年花火打ち上げ」の記録作品をみせていただきました。その数コマをデジカメに寫しました。








亘理の名産のひとつが「いちご」のようです。いちご畑は全壊したものの、ふたたびいま甦っているようで、大條さんからお土産に、いちごのローソクをいただきました。



以上、2時間近い懇談を終えて、神戸からのささやかな支援金を手渡し、次の場所「NPO法人・亘理いちごっこ」へ移動しました。

この法人は同じ町内にあって、この仮設からも近く、わたしは木村さんの愛用の自動車ーーそれはジープで、全く個人的なことですが、幼いころ田舎育ちのわたしがジープにあこがれて、いちど乗ってみたいと願っておりましたーーの助手席に乗せていただいて移動しました。

その車中でも、木村さんたちのいまの日々の、大地に足を踏みしめた働きぶりからあふれるお話を伺い深い感銘をうけました。「三人衆」のチームワークも素晴らしいものでした。

今回の最後に、木村さんの愛車のジープを収めさせていただきます。