「KAGAWA GALAXY 吉田源治郎・幸の世界」(36)シュバイツァー「原生林の片隅にて」を読む


上の写真は、このたび初めて出かけた山口県光市の「伊保木村」にある上田達生さんお宅「光の海舎;椿窯」の2階から眺めた「光の海」です。今日のブログ「番町出合いの家」http://plaza.rakuten.co.jp/40223/ より。


KAGAWA GALAXY吉田源治郎・幸の世界」(36


http://k100.yorozubp.com長期連載(150回)補充資料


第5回 「シュバイツァーの「原生林の片隅にて」を読む」(8)
吉田源治郎訳 シュバイツァー著『宗教科学より見たる基督教』
(原題『世界の諸宗教と基督教』)付録。大正14年9月8日、
警醒社書店より刊行


 シュワイチェルの「原生林の片隅にて」を読む


                           吉田源治郎


                三 オグオエの流域


   (つづき)


 『一九一四年の二月始め、オグオヱの上流、エヌジオーレの対岸のタラグウガと云う所で、私と私の妻は、悪性のねぶとに罹って高熱に苦しんでいた宣教師ヘルマン君の治療に従事していた。


 同時に私は、その近隣の病人の治療をしていたが、或る日、一人の少年を診療しやうとした所、どうとても私を恐れて室へはいつてこない。それで無理やりに運び入れてもらって漸く治療を施したことであったが、後から聞いたら、その少年は、私に喰い殺されると思ったのださうである。


 此少年の喰人に関する知識は、お伽噺から得たものでなくて、現実の見聞から得た所のものであったのだ。今日では、喰人罰する厳重な法律が此フランス植民地では、履行されているが、それにも拘はらず、バフィンス族の間には、まだこの古米の悪習が根絶せぬ。此辺では、人が行方不明になったと云うことは、「喰はれた」と同義語に解釈されている。』


     (つづく)