「KAGAWA GALAXY 吉田源治郎・幸の世界」(34)シュバイツァー「原生林の片隅にて」を読む



KAGAWA GALAXY吉田源治郎・幸の世界」(34


http://k100.yorozubp.com長期連載(150回)補充資料


第5回 「シュバイツァーの「原生林の片隅にて」を読む」(6)
吉田源治郎訳 シュバイツァー著『宗教科学より見たる基督教』
(原題『世界の諸宗教と基督教』)付録。大正14年9月8日、
警醒社書店より刊行


 シュワイチェルの「原生林の片隅にて」を読む

                           吉田源治郎


                三 オグオエの流域


 オグオヱと云ふのは、川の名で、コンゴー河の北に当って、ほぼ之れと並行して流れている、七、八百哩の長流である。二百五十哩位迄は、上流へ汽船で行ける。


 そこからしてーー即ち、エスジオーレの附近からは丘陵と山岳が疊々と起伏して中央アフリカの大高原へと続いて行く。その辺から、オグオエ川も奔流と普通の旅とか交互するので、特別製の、スクリウ付の小汽船か、カヌーでないと航行不可能だ。


 材木業が此流域の代表的産業である。米も馬鈴薯も、其の他、穀類も気候と温度の関係で耕作の見込がない。適言な牧草が生えないために、オグオエの流域では、牧牛も全く絶望。それで土人の食物―−バナナとム二オク(普通カサツヴワという名で知られている。タピオカの原料)――で満足できないとすると、食料は、全部欧州からめ輸入品に待たなくてはならぬーー穀類も、米も、馬鈴薯も、ミルクもーーそれで、生活費が随分高いものにつく。



    (つづく)