「KAGAWA GALAXY 吉田源治郎・幸の世界」（２６）

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第３回　保育に於ける自然研究（１４）

『子供の教養』（昭和１４年１１月号）

　　　　　　　　　　　　保育に於ける自然研究

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　吉　田　源　治　郎

　　　　　五、保育に於ける自然研究、幼児への自然教案実施について

　賀川豊彦氏は、昭和八年七月に、基督教保育聯盟主催の軽井沢夏期練習会で「幼児自然教案」について、数回の講演をされた。今、ここに、その講演の梗概のプリントからいくばくかの參考資料を摘記してみる。

　（１）　幼児自然教育の心理的注意十則
　　　１　実物を二体として
　　　２　注意力に訴へる
　　　３　聯想せしめる
　　　４　記憶させる
　　　５　簡易なものから
　　　６　順序立てて
　　　７　繰返して
　　　８　推理させ
　　　９　よく云って聞かせる
　　　10　自然に同化させる

　（２）　自然敦案は幼児の遊戯本能を満足せしめる

　　　鉱物によるもの
　　　　石拾ひ
　　　　砂いぢり
　　　　粘土細工
　　　　泥いぢり
　　　植物によるもの
　　　　草つみ
　　　　花つみ
　　　　果拾ひ
　　　動物によるもの
　　　　貝拾ひ
　　　　虫とり
　　　　魚つり
　　　　鳥おひ
　　　　兎狩等々
　　　一般
　　　　スキー
　　　　水あそぴ
　　　　凧あげ等々

　児童の感情・・・憂鬱、圧迫、恐怖、不安、煩悶、憤怒、等は「白然」によって治癒される。

　（３）　自然教案による宗教々育

　　　物質界の意匠をおしへる
　　　鉱物界に於ける意匠
　　　　結晶の世界
　　　　水の世界
　　　生物界に於ける生命の神秘
　　　　植物の世界
　　　　葉の意匠
　　　　枝、幹の意匠
　　　　花の意匠
　　　　根の意匠
　　　動物の世界
　　　　骨の意匠
　　　　筋肉、諸臓器の意匠
　　　　神経の意匠
　　　力の神秘
　　　　天体の意匠
　　　　宇宙の意匠
　　　機械以上の世界（偶然ならぬ世界）
　　　人間の想像以上の萬能があること、そのことが不思議である。

　（４）　幼児への植物の教え方

　　　宗数々育的に教えるには――恩物化すること
　　　天の恩物として取扱ふこと
　　　美的取扱をすること
　　　生命の可能性を教えること
　　　　実の神秘
　　　　葉の神秘
　　　　成長の神秘
　　　　植物感覚の神秘
　　　　再生の神秘
　　　　　挿木を教える
　　　　　接木を教える
　　　　　胞子まき
　　　　　腋芽まき
　　　　花の神秘を教えること
　　　　遺伝の法則を簡単に示すこと
　　　　〔例――えんどう豆をまく〕
　　　　恩物の手工についての注意
　　　　粗雑な観察をさせず
　　　　実物にできるだけ似た特長をつかませること
　　　　植物恩物化の注意
　　　　ぬり絵――きり抜き――折紙――貼紙
　　　　自然のままの美を恩物化すること
　　　　小さな鉢そのまま
　　　　盆栽そのまま
　　　　葉（実物）の恩物化
　　　　　　葉脈の恩物化（薬物により加工して）
　　　　　　葉を青写真にとる
　　　　　　葉の形を色紙に切取る
　　　　　　葉を幾何學的に図案化する
　　　　　　水草及藻を恩物化する
　　　　　　花そのもの
　　　　　　花輪
　　　　　　花首輪をつくる
　　　　　　花の腊製
　　　　自然をやや加工して
　　　　　　ささ舟、笛、草笛、等
　　　　不自然な加工を誠む
　　　　　　余り加工して自然の美をなくしないこと

　　　　　（つづく）