「新しい人権の確立を求めて」(5)(「火の柱」1988年9月・10月)



新しい人権の確立を求めて」(5)


 1988年8月3日−全体協議・発題−



       



  (前回に続く)             

 
 賀川豊彦にはそういう新しさがある。それは非常に普遍的な、力をもったものだ、ということを思うのです。


 それは同時に、賀川場合、この世界、この社会を受け取る基本的な視座として、新た強い宇宙把握、コスモロジーですね、宇宙の目的の目的を基としてこの宇宙悪の問題を把握するという、確かな視点が生涯を貫いている、その魅力ですね。


 したがって、特に貧困、病気、戦争など今日の社会がかかえでいる問題が全て、賀川豊彦の生涯のテーマでありました。


 ですから、単なる悪の問題、単なる社会悪を問題にするのではなく、真実確かな宇宙の目的に相応して生きる、こういう新しい発見にうながされて、新しい生き方が出て来た。それがさらに時代を超えて、グローバルに世界の神学にまで進展して、これから恐らくそう言う視点に関わった研究者が出てきて、「賀川豊彦再発見」が進むように思えるのです。つい最近も、世界会議のひとつでそういうカンファレンスを持ちたいという話がありますけれど、実現すれば面白いと思います。


  (続く)