岩田健三郎さんの絵本『いのちが震えた』紹介(4)神戸新聞2004年12月16日


岩田健三郎さんの絵本『いのちが震えた』紹介(4)


   神戸新聞:2004年12月16日





         震災を描いた作家たち


        岩田健三郎 「震災から100日目」より


      いわた・けんざぶろう1947年姫路市生まれ。
      版画集「あぜ径」など。自宅近くに夫婦で上村・
      川のほとりの美術館を開設。同市在住。


 あの時、わたしの住んでいる姫路は家がゆれたくらいだった。テレビをみてびっくり。友人・知人を思った。訪ねていきたかったが、すぐには行けず十日目にようやく。はたで見ていただけやが、神戸の人たちのがんばりに“いのちが震える”感動をした。人と人とのつながりが、あったかい。そのことを教えられ、いまも。
     

 「僕の中では、まだ震災が続いている」。姫路市に住む版画家の岩田健三郎さんは今もそう語る。


 あの日、自宅は震度4に揺れた。被害は軽微だったが、体が揺れを記憶している。神戸で見た光景が脳裏に重なる。


 多くの知り合いが被災した。連絡が取れなくなくなった人、震災が「過去」になったという人・・・。さまざまな「復興」をそばから見続けた。


 震災の前も後も毎月、手がきの絵と文を「へらへらつうしん」として全国に送り届ける。絵本「いのちが震えた」(「震災から100日目」)は、その中から生まれた。
 

 「僕の絵は今もそんなに変わってない。でも花一本描くにも、命がいとおしくなったなあ」


 人それぞれの十年。「いろんなことかあったやるう廿ど、みんな、仲良くやろうや」。そんな思いを作品に託す。


 「震災を描いた作家たち展」は一月二日から十七日まで、そごう神戸店新館八階で。無料。神戸新聞社文化事業部容078・362・7086