『「対話の時代」のじはじめりー宗教・人権・部落問題』批評(3)加藤西郷『親鸞と世界』1997年12月



『「対話の時代」のはじまり―宗教・人権・部落問題』批評(3)


     『親鸞と世界』第10号、1997年12月


             加藤西郷


 あらためていま、本当の「開かれた対話」がもとめられ、期待されています。「対話」は、とうぜん「相互批判」が含まれます。お互いに「閉じた」関係のもとでは「対話」にはなりません。まして一方的な「糾弾」は「閉じた」関係を癒し難いかたちで増幅させてしまいます。いずれにいたしましても、現代は、「対話の時代」です。どの時代にあっても「怒りを遷さず」「敵のために祈る」、ひとりひとりの「開かれた勇気」が、確かな明日を切り拓いてきました。これまで人々を縛ってきた暴力や憎悪、独善や利権の呪縛から解き放たれ、晴朗な息吹が満ち溢れるときが、いまも待たれています。

 このような著者の呼びかけに、私たちはすなおに応答しようではありませんか。

この書は本当にやさしく、読み易い本です。しかし、多くのことを考えさせる本です。最近、私か読んだ本のなかでどうしても読んでほしいと思った本の一つです。

兵車部落問題研究所刊  神戸市中央区元町通七丁目2-11 078−351−5265