断章:結婚・差別・部落(悪童会同人誌『鄙語』第2号所収)第2回

はじめに、前回につづいて藤原昭三先生の墨絵の作品を1枚、掲載させていただきます。




前回に触れたように、このノートは1975年に掲載されています。

なぜこういう主題で私がこのノートを書こうとしたのかは、皆さんもすぐ理解されることでしょう。1960年代から70年代というのは、部落問題解決に向けた本格的な取り組みが緒に着いた時で、長期にわたる劣悪な生活環境も改善されず、就職差別も結婚差別も解決されていない時代でした。


ですから、このときの私たちの大きな主題は、目に見える住宅・生活・仕事・教育・健康すべてにわたって、放置されたこの実態を総合的に把握して、トータルな改善計画を作り上げることに専心していた時期です。そうした課題を担って、1974年春には「神戸部落問題研究所」という民間の研究機関も作られていきました。


身近な友人たちの間でも「結婚差別」のようなことも起こり、その相談など乗る機会もあったりして「部落差別と結婚」という難しい問題に向き合いはじめていました。「そもそも結婚とは何か」という基本問題も、当然我が事としても、しっかりと見極めておきたい、という時だったと思います。


これは全くの「断章」で不十分な思索に過ぎませんが、この作業を経てすぐ取り掛かることになる、私にとって初めての編著『私たちの結婚ー部落差別を乗り越えて』に、これが繋がっていくのでした。


では、「第2回」を掲載いたします。













次回は、この頁から掲載いたします。