「吉田源治郎牧師から見えてくるラクーア伝道」(資料10)



「吉田源治郎牧師から見えてくるラクーア伝道」資料10


 吉田摂氏所蔵の資料のなかに『宣教百年記念ラクーア伝道写真集』(1959年刊行)がのこされていました。貴重なものですので、ここに巻頭の大村勇氏のことばとともに、抜粋してUPしておきます。


 数回この続きもUPして置く予定です。現物はいま、神戸の賀川記念館(賀川ミュージアム)に寄贈されています。





       宣教百年記念ラクーア伝道写真集出版について


     ラクーア特別伝道委員会委員長
     日本基督教団副議長          大 村  勇


 1954年(昭和29年)の夏,福島県下に十ヵ所のセンターを開設して始まったラクーア伝道は,最終年の今年,福島,関東,東京,静岡,大阪, 兵庫の各地区に34のセンターを数えるに至った。また当初は,日本基督教協議会(NCC)宣教百年記念運動の一事業として発足したのであるが,本伝道の内容が実質的に日本基督教団関係に限られているため,1958年1月以来,教団綜合伝道委員会内の特別伝道となった。


 日本宣教百年の年に当って,約30の自給教会を新しく日本基督教団に加えることができたという事実を思うとき,本伝道の創始者であり推進者であるローレンス・ラクーア博士夫妻および,この伝道に参加して6回にわたって来朝した200余名の米人牧師と伝道団員,またこの伝道に協力した日本人教職信徒たちに対し,更にまたこれらすべての人々の背後にある日米諸教会の祈りと物心両面の奉仕に対して,心からの感謝をささげたい。


 それにもまして,これらすべてのことを成就したもうた,われらの主イエス・キリストにこそ感謝と讃美とをささげねばならない。


 この写真集は,この宣教史上ユニークな伝道方式の進展と内容の全貌を,まのあたりに示している。もともとこれは,ラクーア博士夫妻とその伝道参加者たちへの感謝のしるしとして企画されたものであるが,それ以上に,これは本伝道の記念塔の役割をはたすとともに,エキュメニカルな宣教型態の一例として,世界宣教運動にも貢献するものと確信する。


 「父がわたしをおつかわしになったように,わたしもまたあなたがたをつかわす」(ヨハネ20 ・ 21)。ラクーア伝道の原動力はこの主キリストから起っていることはいうまでもない。この主につかわされ,世界をわが教区として,生活様式や言語の不便を超え,多くの犠牲をいとわず,酷暑の夏に,米国から来て,日本伝道に奉仕された人々に対し,わたしたちもまた「ああ麗しいかな,良きおとずれを告げる者の足は」といわざるを得ない。


 日本の教会は,これに対して何をなすべきであろうか。ただ一つ,同一の主の宣教に参加し,同じ主につかわされて,この国の隅々にまで福音を満たすのみでなく,主つかわしたもうならば,海のかなたへも出て行くべきではなかろうか。


 「受けるよりは与える方がさいわいである」(使徒行伝20・35)との主イエスのみ言葉を私たちはこの伝道において学ぶとともに,このみ言葉に従って出て行くべきではなかろうか。


    1959年9月1日